音楽は音で会話するコミュニケーション
先日もレッスン後に生徒さんとたくさん音楽談議をしました。
この日の話題の中心は「ミュージシャンは演奏中に音で会話をしている」ということ。
とくにジャズにおけるセッションではアドリブでコール&レスポンスが繰り返されています。
このことを理解してもらうために最近お気に入りの台湾の歌姫ポン・ポン・チェンの動画を一緒に観ました。
まだ20代前半という若さで素晴らしい歌とギターですね。
2コーラス終わったところからスキャットとギターのアドリブに入りますが、ドラムがメロディに沿うようにぴったりとついて来る。なぜ合わせることができるのでしょう?
実はこの部分アドリブと見せかけてチャーリー・パーカーのOrnithologyという曲を弾いているのです。
ちなみにジャズのアドリブでは既存の有名曲をさりげなく挟み込んで遊ぶことが日常的に行われます。
ドラムの人が即座に反応できた理由は二つ。
・アドリブ中に他の曲を挟み込むのは日常茶飯事という常識を持っている
・チャーリー・パーカーのような有名スタンダードを認識している
この二つは音楽理論とは関係のないものですが重要ですね。
日常生活における礼儀やマナーなどと同様でこれがないと他者とのコミュケーションは上手くいきません。
さらにコミュニケーションにおいて最も重要なのは人の話(音)をしっかりと聞くこと。
音楽をするうえで理論を学んだりテクニックを磨くことは大切ですが、それだけでは会話は成立しません。
リテラシー(知識やそれを理解し活用する能力)が求められるのです。
そしてもう一つ大切なのはユーモアを持つこと。
誰かが発した言葉にただ「うん」と返すだけでは会話は終わってしまいます。
ユーモアを持って切り返すことで相手も反応して会話はどんどん弾みます。
こうした音による会話をミュージシャンだけでなくオーディエンスとも共有するのがいいライブであり、音楽が世界共通の言語とされる理由なんでしょうね。

